『石間郷』山村の味
地粉の手打ち蕎麦
秩父産の蕎麦粉は、香りが良いことで好評を得ています。
そんな良質の蕎麦の実が採れる地元では、蕎麦打ちの人気は高く、秩父市吉田でも「吉田そばの実会」が結成され、熟練した蕎麦打ち名人が多数育っています。
毎年9月最終日曜日に地元で開催される「収穫祭」をはじめ、各種イベントにてその腕前を披露しています。
石間を訪れる団体観光客にも食して頂けるよう、現在、受入体制を整えるべく、準備を進めているところです。
石間中郷地区には蕎麦挽きのための水車小屋が建ち、城峯山を源流とする豊富な湧水を使った、逸品の蕎麦が打たれています。 挽きたて・打ちたて・茹でたての蕎麦を、山の空気に包まれて、渓流の調べを聴きながら食べられる喜びは、極上の幸せです。
おっきりこみ
蕎麦打ちと肩を並べて人気が高いのが「うどん」です。
手打ちうどんはどの家庭でも日常的に打たれ、お客さんが訪ねて来たり、独立した身内が家族を引きつれて帰ってきたり、何かにつけて人が集まるときにはうどんが打たれます。
そして、食べ方として大人気なのが「おっきりこみ」。
白菜や長ネギ、ニンジン、豚肉、きのこ、油揚げなどを煮込み、具材が柔らかくなったら手打うどんの生麺を加え、醤油や味噌で味付けます。 具材の旨味がタップリと抽出したお出汁に、生麺の打ち粉が溶けて、トロトロのお出汁ができあがります。 心まで熱々にしてくれる、寒い時期の定番家庭料理です。
県境の雁坂峠を越えた山梨県甲府盆地では、似ている料理として「ほうとう」があります。「おっきりこみ」との違いは、具材にカボチャが欠かせず、うどんは平麺を使い味噌仕立てのようです。似たもの同士、どちらも山村の味ですね。
たらしやき
秩父地方で農作業の合間や、お茶請けに食べられてきた小麦粉料理。ネギや青じそ、ふきのとうや山野草、桜エビなどを、小麦粉を水で溶いた生地に混ぜて、鉄板でこんがり焼きます。お好み焼きに似ていますが、具材に味噌を入れて、味付けしてから焼きますので、焼き上がった後にソースやタレは使いません。生地をたらして焼くから「たらし焼き」と呼ばれるようになったと言われています。長ネギの香りと素朴な味が好評です。
もろこし饅頭
饅頭の生地にトウモロコシの粉を使っています。トウモロコシの粉は粗挽きの方が、風味が強くなり美味しく感じられます。中に「餡」を入れたり、変わり種としては秩父名産の「しゃくし菜」を油で炒め、味付けしたものを餡代わり入れたりして、蒸した後に香ばしく焼き上げます。
冷えてしまうと固くなりますので、食べる前にもう一度焼くか、電子レンジで温めると、尚一層おいしくいただけます。